【症例紹介】インビザラインで叢生と開咬を治療・30代矯正治療
2024年10月08日(火)
コラム
インビザラインで叢生と開咬を治療した30代女性の症例
初診時の年齢が30歳代の女性です。
上下前歯の叢生(そうせい)と開咬(かいこう)が気になり来院されました。
叢生(そうせい)とは?
奥歯(臼歯)で噛んだ時に前歯が噛み合わず、隙間ができている状態の歯列不正をこのように呼びます。
開咬(かいこう)とは?
歯並びはガタガタの状態の歯列不正をこのように呼びます。
乱杭歯(らんぐいば)とも言います。
歯並びの状態を客観的に確認
術前正面の画像です。奥歯で噛んでいる状態ですが、前歯はご覧のように空いています。
典型的な「開咬(かいこう)」の状態です。
術前上顎の画像です。前歯だけでなく右側臼歯にも「叢生(そうせい)」を認めます。
この画像ではわずかに写っていますが、左右とも親知らずが生えています。
術前下顎の画像です。前歯部に「叢生(そうせい)」を認めます。
左側の第2小臼歯に「捻転(ねんてん)」と呼ばれる状態を認めます。左下犬歯と右下側切歯は「遠心捻転」左下第2小臼歯は「近心捻転」と呼ばれる状態です。
捻転(ねんてん)とは?
歯が本来とは違う向きで生えてきている状態を専門用語でこのように呼びます。
術前下顎の画像で、明らかに捻転とわかる歯牙に線を入れました。青線は本来向いているべき方向で、赤線は捻転の方向を入れました。
左下第1小臼歯が正しい状態とすると、手前の犬歯はわずかに遠心捻転、1つ後ろの第2小臼歯は近心捻転の状態です。
STEPご希望の治療方法の聞き取り
患者さまの希望している治療方法をお伺いします。
ご相談の段階で、患者さまご希望の治療方法を聞き取りします。
具体的には、下記の内容になるかと思います。
- 部分矯正による治療で改善させたいか?全体を治療したいか?
- どのような装置で矯正治療を希望しているのか?
- 治療の予算はどれくらいで考えているのか?
こちらの患者さまは、マウスピース矯正を希望されていました。きちんと治療したいので全体矯正で問題ないとのことです。予算についても金額についての質問がご相談の段階でありましたが、説明の上で問題ないとのことでした。
資料を収集して分析、治療方針と装置の提案・相談
セファロレントゲンの側方画像です。
レントゲンに写り込んでいる鼻と上下口唇のバランスはそれほど悪くありませんが、若干口唇が前突気味かもしれないです。
分析により「外科矯正」と呼ばれる、顎の手術を伴う矯正治療が必要かどうかの鑑別が必要になるのですが、今回は必要な状態ではありませんでした。
上下とも前歯はこの位置を維持しながら叢生(そうせい)を改善させればインビザラインの場合、開咬は必然的に改善されてきます。
下顎の左右に親知らずが埋伏しています。理想は術前の抜歯です。
分析した上での治療計画は
- ご希望通りインビザラインによるマウスピース矯正で治療する。
- 上下とも小臼歯は抜歯しない。
- 顎の親知らずは抜歯が理想であるが、位置的にかなり低い位置に埋伏しているため、抜歯せずに治療を進め、問題が生じたら抜歯を考える。
- 開咬は叢生を改善していく段階で、自然と改善されるのを期待する。
患者さまの希望を汲み、治療方針の修正と変更を相談
今回ご希望されているのは、「インビザラインによるマウスピース矯正」の1点でした。
下顎の親知らずについても計画通りの説明で同意をいただき、分析した上での治療計画通りに進めることが可能です。
STEP術前・術中・術後画像の比較
術前
治療中
術後(治療開始から3年)
いかがでしたか?
分析結果で、「外科矯正」と呼ばれる治療は不要であったためインビザライン矯正で問題なく治療することができました。
インビザライン矯正の場合、あらかじめ多くのマウスピースをお渡しすることで数ヶ月治療間隔が開いても理屈上は問題ないのですが、何故か途中で適合不良となってしまい、結果として治療が進まないケースは少なくありません。
当院の指示通りの通院をきちんとお守りいただけたことで、歯並びは綺麗に仕上がりました。
STEP通院データ
- 当院初診日:令和1年5月25日
- 矯正治療開始日:令和1年6月29日
- 装置の装着開始日:令和1年8月17日
- 矯正治療終了日(後戻り装置お渡し日):令和4年7月9日
- 矯正治療期間:3年
- 矯正の術前治療から含めた治療期間:3年3ヶ月
- 術前治療からの通院回数:45回
- 矯正治療開始からの通院回数:39回