保険でできる白いかぶせ物
2022年10月18日(火)
コラム
保険適用の白いかぶせ物について
虫歯治療で歯医者を受診する場合、保険診療でできるかできないかは患者さまにとって受診した歯科医院との信頼関係にも繋がる大切な内容ですよね。
また、場合によっては切実な問題にもなる可能性を秘めています。
そこで今回は「保険適用の白いかぶせ物=CAD/CAM冠」についてのお話です。
CAD/CAM冠(キャドカムかん)とは?
「CAD/CAM冠」(キャドカムかん)は「ハイブリッドレジン」という材質です。
「レジン」というプラスチック系の材料にセラミックを配合させています。
「ハイブリッドセラミック」と比較してセラミックの配合割合が少ない印象で、歯ブラシのこすれによる摩耗は、ハイブリッドセラミックよりも早いと思われます。
保険診療の制度上、全ての歯に適用できる訳ではありませんのでご注意ください。
CAD/CAM冠(キャドカム冠)の適用範囲が拡大
全体をかぶせる「CAD/CAM冠」と、全体を被せる状態ではなく「レジン充填」と呼んでいる詰め物では治療できない場合に適用となる「CAD/CAMインレー」があります。
「CAD/CAM冠」は以前は保険適用外でしたが、平成26年(2014年)4月から保険治療で導入されるようになり、適用範囲が拡大されています。
まず小臼歯(小さな奥歯)に適用されました。
大臼歯(大きな奥歯)は令和2年(2020年)4月から、前歯は同年9月からです。
「CAD/CAM冠」で治療するには?保険診療の制度で決められた諸条件
「CAD/CAMインレー(詰め物)」は令和4年(2022年)4月から保険適用となりました。
CAD/CAMインレーを前歯の治療で選択することはありません。
小臼歯と呼ばれている小さな奥歯、大臼歯と呼ばれる大きな奥歯で選択することがあります。
小臼歯と大臼歯での適用条件は、CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー共に同じです。
前歯と小臼歯の場合、保険診療であれば第1選択になります。
大臼歯に適用する場合は、細かい条件があります。
- 第1大臼歯に使用する場合、第2大臼歯が上下左右の4本全て残っていることが絶対条件となります。
1ヶ所でも諸事情により抜歯されている等で欠損している場合、銀歯になります。
第3大臼歯(親知らず)が生えていても駄目です。 - 第2大臼歯・第3大臼歯は原則として保険適用外となります。
- この部位に、唯一例外的に保険のCAD/CAM冠を入れる事ができるケースがあります。
金属アレルギーをお持ちの患者さまです。
医科で「金属アレルギー」の病名診断があり、正式な診断書を持参か、それに基づき医科の医療期間から治療の依頼があった場合、またはこちらからの病状照会による返信が文書であった場合のみです。
自己申告で「私は金属アレルギーがあります」だけでは適用となりません。
CAD/CAM冠、CAD/CAMインレー共にあくまでもこの範ちゅうに入りますので、適用される全ての部位で留意していただきたい事項がいくつかあります。
- 色を厳密に合わせることは出来ません。でき上がったかぶせ物の色が周囲の歯と合っていなくても、色の不一致を理由として作り直すことはできません。
- 金属性のかぶせ物と比較して、かぶせ物の厚さを厚くしないと破折の原因になるため、歯を削る量が多くなります。
特にCAD/CAMインレーの場合で顕著です。
→ 患者さまのご希望に添えず、金属製のかぶせ物やインレーにする場合もあります。 - 金属製のかぶせ物やインレーと比較してやや適合が悪い傾向にあります。
適合精度が劣ることに関連して接着力も劣るので、金属製と比較して外れやすいです。 - 歯ぎしりや食いしばりが顕著な場合、破折のリスクを伴うため、金属製のかぶせ物やインレーにする場合があります。
- 保険診療をしている歯科医院でも取り扱っていない可能性があります。こちらの方法で治療する場合、届出が必要で、手続きしていない歯科医院もあるためです。
以上、保険でできる白いかぶせ物についてでした。
耐久性や審美性、適合精度を考えると、保険外治療のオールセラミックやハイブリッドセラミックには劣ります。
そこは常にお考えいただいた上での治療となることをご理解いただけると幸いです。