【症例紹介】インビザラインで乱杭歯(叢生)を改善
2023年02月09日(木)
コラム
インビザラインで乱杭歯(叢生)を改善した20代女性の症例
今回はインビザラインを使用した成人矯正治療のご紹介です
顎のスペースが足りず歯並びが凸凹になっていたり、重なりあって生えていたりする状態です。
見た目が悪いだけでなく、歯ブラシが届きにくいため虫歯や歯周病のリスクが高いといわれています。
初診時の年齢が24歳6ヶ月の女性です。上下前歯の乱杭歯(叢生)が気になるとのことで来院されました。
お口の中を確認すると、上の前歯よりも下の前歯の叢生の状態が顕著です。
また、右上2番目の大きな奥歯(第2大臼歯)が著しく外側(頬側)へ飛び出しています。
頬側転位(きょうそくてんい)と呼ばれる状態に加えて下顎の臼歯と咬合していない「シザーズバイト」と呼ばれる状態も認められます。
ご相談の段階で、患者さまご希望の治療方法を聞き取りします。
具体的には、下記の内容になるかと思います。
- 部分矯正による治療で改善させたいか?全体を治療したいか?
- どのような装置で矯正治療を希望しているのか?(マウスピースか?ワイヤーか?)
- 治療の予算はどれくらいで考えているか?
こちらの患者さまは、来院時は上下前歯のみの部分矯正を希望してましたが、上下とも部分矯正では気になる箇所の改善はできないことを説明し、全体の矯正治療で同意を得ました。
治療前の事前の分析では、それに加えて上下とも前歯が「唇側傾斜」という状態であることも判明しました。
いわゆる「出っ歯」の状態です。
このアングルのレントゲン画像では、前歯の傾斜はわかりにくいです。
分析した上での治療方針はブラケット装置よるワイヤーの矯正、上下とも第1小臼歯(犬歯の1つ奥の小さい臼歯)を抜歯することで叢生の改善・出っ歯を改善させるという内容になりました。
抜歯によるワイヤー矯正であれば、ご本人の気になっている状態の改善は、どちらも可能です。
今回、患者さまはワイヤー装置を望んでいらっしゃいません。
それに加えて、次の2点を希望されています。
- 「取り外し可能で目立たない装置」で矯正治療を行いたい事
- 2年以内で治療を終わらせたい。
治療期間に関しては、お仕事で勤務地異動の可能性が高いというのが理由でした。
目立たないだけであれば、セラミックブラケットに代表される「エステティックブラケット」や裏側にブラケットを装着する「舌側矯正」も選択肢に入りますが、取り外しが可能という条件が加わると、やはりインビザラインのみになってしまいます。
一方で抜歯して矯正する場合、インビザラインだと後方の歯が抜歯スペースに向かって倒れ込んでしまう副反応を起こす事があります。そうなると2年以内で終了しない可能性が高くなってしまいます。
相談時に撮影した初回来院時のレントゲンで上顎は親知らずが左右とも埋伏しているため、小臼歯の抜歯しない代わりに上は親知らずを抜歯して、下は第2大臼歯の後方のスペースをそれぞれ利用して改善させることにしました。
この場合、出っ歯があまり改善しない可能性もあるのですが、ご本人がその改善よりも2年以内に治療を終了させることを優先させたいとのことでしたので、次の内容で同意を得て治療を開始しました。
- 上顎は両側の親知らずを抜歯してそのスペースを利用して出っ歯を可及的に改善。
- 下顎は親知らずがもともとないため、非抜歯で側方拡大で叢生を改善。
- 装置はインビザラインを使用。
- 小臼歯を抜歯しない事で出っ歯はあまり改善しない可能性がある。
これらの4項目を踏まえた上で装置の製作を依頼します。
いよいよ治療スタート!
iTeroを使用して口の中をスキャンし、装置の製作を依頼します。
こちらが治療スタート時の画像です。
この患者さまは装置の不具合はほとんどなく、順調に治療が進みました。
こちらが術中の画像です。
ご本人の希望通りに歯並びが綺麗になりました。
治療期間は術前の検査の期間から換算して1年5ヶ月、装置を装着して歯を動かした実質の期間は1年2ヶ月でした。
まとめ
いかがでしたか?
今回は装置のご希望、抜歯するかどうかのご希望、治療期間のご希望を踏まえた形での治療となりました。
歯並びの状態と患者さまのご希望によっては、小さな奥歯(小臼歯)の抜歯をお勧めする場合もありますし、インビザラインではなく、ワイヤー矯正をお勧めする場合もあります。
できるだけご希望に沿った形での治療をご提案しますので、気兼ねなく、ご相談いただけたらと思います。
以上、インビザラインを使用した成人矯正【乱杭歯・叢生】の症例紹介でした。
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