【症例紹介】インビザラインで乱杭歯(叢生)を改善・10代矯正治療
2023年08月16日(水)
コラム
今回はインビザラインを使用した成人矯正治療の紹介です
初診の年齢が16歳4ヶ月の女性です。
上下前歯の乱杭歯(叢生)が気になるとのことで来院されました。
顎のスペースが足りず歯並びが凸凹になっていたり、重なりあって生えていたりする状態です。
見た目が悪いだけでなく、歯ブラシが届きにくいため虫歯や歯周病のリスクが高いといわれています。
インビザラインで乱杭歯(叢生)を改善・10代女性
上下とも前歯の叢生が顕著です。
左上2番目の前歯(側切歯)はスペースがなく内側に入り込んでいます(口蓋側転位)。
上顎左右1番目の前歯(中切歯)の中心が左側へずれています。
右下4番目の小さな奥歯(第1小臼歯)は大きく外側へ飛び出しています(頬側転位)。
具体的には、下記の内容になるかと思います。
- 部分矯正による治療で改善させたいか?全体を治療したいか?
- どのような装置で矯正治療を希望しているか?
- 治療の予算はどれくらいで考えているか?
- 抜歯をして治療をしても良いか?抜歯は希望していないか?
10代の場合、20代以上の治療と異なる点を挙げると、非抜歯による治療を希望する場合は少なくありません。
こちらの患者さまの希望は以下の内容です。
- 裏側矯正
- 非抜歯での治療
- 部分矯正
- 高校卒業までに終わらせたい
どの内容も相談の段階では明確な回答は出来ないため、資料収集と分析を行ってから回答することで同意を得ました。
治療前の事前の分析で、側面のセファロレントゲンでは特に問題はなく、上下口唇のバランスは良好です。
正面のセファロレントゲンの分析では、前歯の中心が左側に2mmずれています。
(青線:骨格の中心 赤線:上顎前歯の中心)
そして、分析の際に左右の奥歯の噛み合わせを確認します。
奥歯の噛み合わせは、左右とも「1級」と専門的に呼ばれる状態(下の画像の赤丸部分)です。
矯正治療を行う際、この噛み合わせの状態にすることが治療のゴールの1つになるのですが、治療前にこの状態ができあがっています。
まとめると以下のようになります。
- 奥歯の噛み合わせは「1級」(理想的な噛み合わせ)
- 上下とも中等度の叢生(乱杭歯)
- 上下口唇のバランス良好
以上の分析結果から「前歯の位置と奥歯の噛み合わせを基本的に動かさず叢生(乱杭歯)を改善させる」という治療方針となります。
具体的には、
・第1小臼歯を上下左右の4本抜歯。
・装置はワイヤー矯正を使用し、改善させる。
という提案内容がベースとなります。
今回の提案内容を本人の希望と照らし合わせると、
1.裏側矯正 → ワイヤー矯正という点では可能なので⭕️
2.非抜歯での治療 → ❌
3.部分矯正 → 部分矯正で改善出来る状態ではないため❌
4.高校卒業までに終わらせたい。
となります。
まず「非抜歯による裏側矯正」と「部分矯正」については治療として事実上難しい旨をお伝えしました。
裏側矯正希望ということは、目立たない装置を希望と考え方を変えることで、インビザラインによるマウスピース矯正を提案、またインビザラインであれば非抜歯での治療も可能であることを加えて説明、同意を得ました。
「4」の高校卒業までには終わらせたいという希望は、治療期間としてぎりぎりであることを伝え、こちらも同意をいただき、インビザラインによる治療開始です。
口腔内スキャナーiTeroを使用して口の中をスキャンし、装置の製作を依頼します。
術中の画像です(治療開始して9ヶ月目)。
そして術後の画像です。
奥歯の噛み合わせも問題ない状態です。
治療を振り返って
いかがでしたか?治療期間は装置の入れ始めて2年5ヶ月でした。
今回、分析結果から「抜歯すべき」という当初の治療計画になりましたが、結果として抜歯をせずに綺麗な歯並びになりました。
当初の計画通りに抜歯してワイヤー矯正で治療した場合、治療機関が2年5ヶ月よりも短くなったかは不明ですが、ご希望にできるだけ沿う内容でこれだけの結果が得られたことはとても良かったかと思います。
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