KaVo社製水消毒システムについて
2024年12月16日(月)
コラム
KaVo社製診療用チェアの「水消毒システム」について
当院では、開院時よりドイツKaVo(カボ)社製の診療用チェアを使用しております。
外観は美しく、治療精度に優れた高性能な製品です。

今回は、こちらの診療用チェアのもう1つの目玉である「水消毒システム」についてのお話です。
STEP「水消毒システム」って何?
「水消毒システム」とは、歯科において治療に使用する水、うがいの水、診療機器内部の水を殺菌・消毒するシステムのことをこのように呼びます。これにより診療機器の配管内部も衛生的に維持され、安心・安全な診療をご提供できます。
カボの診療用チェアには、過酸化水素水を用いた水消毒システムが装備されています。
過酸化水素水以外ですと「機能酸性水」とか「超酸性水」と呼ばれる水を使用した消毒システムがあります。機能酸性水は多くの病原微生物に対して高い殺菌能力があります。その一方で人の皮膚や唾液、血液に触れるとただの水に戻るという特徴があります。
知り合いの同業の歯科医院では、機能酸性水を生成する機械を導入して、それを医院全体に配管し、診療で使用しています。話を聞いて見学に行ったことがありますが、診療用チェア自体がそれ用の配管になっていないことや、名称の通りpHが酸性の水なので、生成機や配管内部が詰まりやすいらしく、機械のメンテナンスで悩んでおられました。
STEPKaVo社製診療用チェアの「水消毒システム」
カボの診療用チェアは、0.025%の低濃度の過酸化水素水を含んだ水が水回路に常時流れ、水路管内を清潔に保っています。うがいや虫歯治療等で使用する水はこちらを利用しています。KaVo社では、これを「常時水消毒システム」と名付けています。1日の診療開始前と診療終了後にオート機能で配管水路内の洗浄も行えます(E70のみ)。
それに加えて「集中水消毒システム」という機能も備わっています。これは、休診日前に「常時水システム」時よりも少し濃度の高い過酸化水素水を診療用チェアの配管内に浸け置きする水消毒システムです。30分滞留させて、バクテリアの繁殖を防ぎます。
私はKaVo社製以外の診療用チェアは1社だけ使用したことがありますが、水消毒システムは装備されていませんでした。それ以外の他社製のチェアで装備されているかはわかりません。
「歯科外来診療感染対策(略して「外感染」)」と呼ばれる保険医療機関における施設基準があります。当院では「歯科外来診療医療安全対策(略して「外安全」)」とセットで施設基準の届出をしておりますが、「外感染」の講習をおこなった講師の先生によると、専門家の間では診療用チェアの配管水路内の衛生状態については、問題が提起されているとのお話がありました。
STEP具体的なお手入れ方法について
カボの診療用チェアの水消毒システムには「オキシゲナル6」という6%濃度の過酸化水素水が含まれている溶液を使用します。

当院では、「エステチカE70」「エステチカE50」という機種名の診療用チェアを使用しています。
「E70」はボトルごとビルトイン、「E50」は内蔵タンクに注ぎ入れます。

ビルトインされたオキシゲナル6のボトル。左側は「デカセプトゲル」と呼ばれるカボ診療用チェア専用の洗浄剤です。
実際の操作はパネルで行います。

診療用チェアの使用状況に応じて4つのモードがあります。
行いたい集中水消毒のモードをタップします。
今回は「1日の診療前(フラッシング)」の様子をブログにしているので、こちらをタップします。

セッティング方法がこのように図示されて出てきます。

ビルトインされている集中水消毒用のアダプターにホース類を差し込みます。

ホース類を差し込んだ状態のアップ画像です。
図示されたセッティング画像の「進む >」をタップすると集中水消毒が始まります。

集中水消毒の進捗状況はこのように青色の棒グラフでわかりやすく表示されます。

クリーニング終了時もこのように表示されます。
操作方法はかなりシンプルです。
所要時間は、正確に計測したことはないですが概算で以下の通りです。
- 「患者ごと(リンス)」が数分
- 「1日の診療前(フラッシング)」が約20分
- 「1日の診療後(ハイドロクリーン)」が約15分
- 「週ごと(集中水消毒)」が約50分
いかがでしたか?
安心、安全な機能が標準装備されている診療用チェアで、皆さまのご来院をお待ちしております。