虫歯治療

虫歯の進行度に応じた適切な治療法を選択し、痛みの少ない治療で健康な口腔環境を取り戻します。

虫歯について

虫歯は、口の中にいる細菌が食べ物や飲み物に含まれる糖質をエサにして作り出す酸によって、歯が溶かされてしまう病気です。初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いですが、進行すると歯がしみたり、痛みを感じるようになります。特に冷たいものや甘いものを口にした時に痛みが強くなることが特徴的です。

虫歯を放っておくと、恐ろしいことになります。

虫歯が進行すると「歯髄(しずい)」と呼ばれる歯の神経が死んでしまい(神経が死ぬことを「歯髄失活(しずいしっかつ)」と呼びます)、根の先に膿が溜まります。虫歯が進行すると「しみる」「痛い」等の症状がありますが、歯髄が失活すると痛みはなくなります(疲労した時等身体の抵抗力が弱くなると痛くなる場合もあります)。

膿は細菌とそれをやっつけようとした白血球の死骸が混ざったもので、細菌内の毒素も含まれています。これらが顎の骨に直接触れてしまうと顎骨炎(がっこつえん)やその内部の骨髄に炎症(骨髄炎(こつずいえん))を起こしてしまいます。

そうならないように、身体は膿が触れそうな部位の骨を自ら「破骨細胞(はこつさいぼう)」により溶かし、溶かした部位に粘膜組織を作りそれらが骨に触れないよう防御します。ご自身でご家庭にある器具で膿を出そうとして、防御壁を傷付けてしまうことで「顎骨炎」や「骨髄炎」を起こすと口腔外科等の外来のある病院での処置が必要になる可能性もあります。

虫歯は「初期う蝕・初期虫歯(C0(シー・ゼロ))」と呼ばれる段階を除いて、自然に治癒することはありません。その初期う蝕も、自然治癒するまではかなりの期間を要します。

C1以上の虫歯は自然治癒しません。また「しみる」「痛い」等の自覚症状が生じてからでは、かなり虫歯が進行している可能性もあります。

早期発見・早期治療により治療により歯を削る量も少なくできますし、それにより治療の回数や費用を抑えることもできます。

予防を心掛け、痛くなくても定期的に歯医者での受診をお勧めします。また「しみる」「痛い」という症状があれば直ちに歯医者でその原因を調べてもらい、治療が必要です。

虫歯になる原因

虫歯の主な原因は、口腔内の細菌が食べ物の糖分をエネルギー源として酸を生成し、それが歯のエナメル質を溶かすことにあります。
この酸による攻撃を受け続けると、歯の表面が溶けて穴が開き、虫歯が形成されます。原因としては日頃の歯磨きが不十分、食生活の乱れ等です。特に、就寝前の歯磨きを怠ると、細菌が一晩中酸を生成し続けるため、虫歯のリスクが高まります。

虫歯になりやすい場所

虫歯は歯の溝や歯と歯の間、歯茎の近く等、歯ブラシの届きにくい場所にできやすいです。
特に、奥歯の噛み合わせ面にある細かな溝や、前歯と前歯の間等は虫歯になりやすい部位です。これらの部位は、食べ物の残りやすさと歯ブラシの届きにくさが重なるため、虫歯の発生リスクが高まります。定期的な歯科検診と正しいブラッシングが予防には重要です。

虫歯の進行過程

健全歯

健全歯はエナメル質にも象牙質にも虫歯の罹患がない状態です。

C0:初期う蝕・初期虫歯

虫歯は初期段階(C0)から始まり、その後進行していきます。
初期段階では、歯の表面のエナメル質がわずかに溶ける程度で、自覚症状はほとんどありません。しかし、この段階で適切なケアを行わないと、虫歯は進行し、次の段階へと移行します。

C1

初期段階の虫歯です。ただし「初期虫歯」とは呼びません。

虫歯の深さはエナメル質内か、わずかに象牙質に及んでいる場合があります。自覚症状はほとんどありません。

「歯間部(しかんぶ)」と呼ばれる歯と歯の間に虫歯がある場合、治療回数は基本的に2回、それ以外、「小窩裂溝(しょうかれっこう)」と呼ばれる歯の溝、「平滑面(へいかつめん)」と呼ばれるそれ以外のところの虫歯は1回で治療できます。

2回必要な場合は「CAD/CAMインレー」「メタルインレー」による治療、1回の場合は「光CR充填(ひかりシーアールじゅうてん)」と呼ばれる処置で治療できます。

C2

虫歯の深さが象牙質まで及んでいる状態です。但し歯髄には達していません。

自覚症状がない場合もありますが、「冷水痛(れいすいつう)」と呼ばれる冷たいものでしみる症状や、「甘味痛(かんみつう)」と呼ばれる甘いものでしみる症状を起こしている場合もあります。何もしない状態で痛みを起こしている「自発痛」と呼ばれる症状を起こしている場合もあります。

「歯間部」と呼ばれる歯と歯の間に虫歯がある場合、治療回数は基本的に2回、それ以外、「小窩裂溝」と呼ばれる歯の溝、「平滑面」と呼ばれるそれ以外のところの虫歯は1回で治療できます。

2回必要な場合は「CAD/CAMインレー」「メタルインレー」による治療、1回の場合は「光CR充填」で治療できます。

C3:生活歯

虫歯が歯髄に達しているか、歯髄に近接している状態です。

何もしない状態で痛みを起こしている「自発痛」と呼ばれる症状があります。

「冷水痛」と呼ばれる冷たいものでしみる症状に加えて、温かいものでもしみる「温熱痛」と呼ばれる症状もあります。歯髄に起きている炎症が自然に治癒することはありません。

「打診」という診断方法で痛みもあります(「打診痛(+)」)。

※打診:器具を用いて「コンコン」と歯を槌打(ついだ)して痛みがあるか無いかを診断する方法。この診断で痛みがある場合「打診痛(+)」、無い場合「打診痛(ー)」と表記します。

治療の回数は4回以上必要です。「抜髄(ばつずい)」→「根管充填」→「支台築造(しだいちくぞう)/ 支台歯形成(しだいしけいせい) / 印象彩得」→「補綴物(ほてつぶつ)装着」という治療の流れが必要最小限の治療です。

C3:失活歯

虫歯が歯髄に達しているか、歯髄に近接している状態は同じです。

自発痛と呼ばれる症状はなくなります。「痛みを我慢していたら痛くなくなった」という症状はこれに該当します。歯髄が失活(しっかつ)することで起きる症状です。但し、疲労している時等身体の抵抗力が落ちた時に「自発痛」「違和感(いわかん)」を起こすことがあります。
※失活:「歯の神経が死んでしまっています」と説明する時の状態のこと。

他の症状としては、「冷水痛」「温熱痛」はありません。打診痛も起こしている場合もあれば、起こしていない場合もあります。虫歯が進行して歯髄が失活したこの状態を「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」と呼びます。

治療の回数は4回以上必要です。「感染根管処置(かんせんこんかんしょち)」→「根管充填(こんかんじゅうてん」→「支台築造(しだいちくぞう)/ 支台歯形成(しだいしけいせい) / 印象彩得(いんしょうさいとく)」→「補綴物(ほてつぶつ)装着」という治療の流れが必要最小限の治療です。

※違和感:痛いわけではないが健全な場所とは違う、所謂「変な感じ」のことをこのように呼びます。

C3:症状が進行した失活歯

さらに症状が進行すると、失活した歯髄組織の腐敗が進み、「根尖(こんせん)」と呼ばれる

歯根部の先端に膿が溜まるようになります。(虫歯が進行した全ての歯で膿が溜まるわけではありません)

自発痛はある場合と無い場合があります。冷水痛と温熱痛はありません。打診痛も起こしている場合もあれば、起こしていない場合もあります。

膿の溜まっている状態により処置内容は変わります。

このような状態で膿が拡がる場合、麻酔した状態で切開して排膿させます。

治療の回数は5回以上必要です。

「切開・排膿・抗生物質と鎮痛消炎剤を処方・内服」→「感染根管処置」→「根管充填」→「支台築造/ 支台歯形成 / 印象彩得」→「補綴物装着」という治療の流れが必要最小限の治療です。

C4

根尖に膿が有る無しに関わらず、さらに虫歯が進行した状態です。

ここまで虫歯が進行すると、根尖に膿が無い場合、ほとんどの場合は自発痛を始めとする諸症状は無くなります。根尖に膿が有る場合、自発痛を起こしている場合もあります。

当該歯牙のみで咀嚼を回復させることが出来ないため、抜歯が必要になります。保存して治療が可能か否かは「健全な歯が骨縁上2ミリ有ること」とされています。

抜歯後、抜いた箇所が完全に治癒するのを待たないといけません。どんなに早くても2ヶ月かそれ以上かかります。また、抜いたところを噛めるようにする方法(入れ歯・ブリッジ・インプラント)により治療回数も異なります。

レーザーによる虫歯の深さ検査

虫歯は穴があいたり歯の内部が黒く透けて見える等、明らかにそれが「虫歯」であるとはっきりしているケースもありますが、見た目にはそれとわからない状態でも中で深くなってしまっている場合もあります。

そのため、当院では虫歯探知レーザー「ダイアグノデント」を活用して虫歯の深さを検査しております。
ダイアグノデントでは、微弱なレーザー光を歯に照射し、その反射光で虫歯の度合いを測定しますので、歯を傷つけることなく、虫歯を探知することができます。

虫歯の深さをレーザーで測り、その結果ある一定の数値に達した場合のみ治療をおすすめしています。

虫歯の進行状況別のダイアグノデントの数値

進行状況ダイアグノデントの数値
健全歯健全歯であっても数値がでます。健全歯の場合10未満の数値になることもあります。
C0(初期虫歯)健全歯や初期虫歯等の状態で、右側「PEAK」欄の数値が30未満であれば当院では経過観察と予防の対象としています。
C2右側「PEAK」欄の数値が40以上の場合、当院では治療が必要な状態と判断しています。「PEAK」欄の数値が30〜39の場合、患者さまごとの口の中のプラークコントロールの状態や飲食の習慣で、その歯牙を処置をするか経過観察するかを判断しています。
C3数値の最高値は「99」です。抜髄が必要な、より深い虫歯になると数値は更に高くなります。

虫歯の治療方法

虫歯の治療には、詰め物治療、被せ物治療、根管治療等があります。

詰め物治療

詰め物治療は、虫歯になった部分を削り取り、その穴を詰める治療法です。詰め物には、レジンやセラミック等の材料が用いられます。レジンは、自然な色合いを再現できるため、見た目が自然で美しいという特徴があります。一方、セラミックは、硬さと耐久性に優れているため、噛む力が強い奥歯に適しています。

被せ物治療

被せ物治療は、虫歯で大きく削られた歯や、歯の形が崩れた歯を補修する治療法です。被せ物には、金属製やセラミック製等があります。金属製の被せ物は、耐久性に優れていますが、色が金色であるため見た目には自然さが欠けます。一方、セラミック製の被せ物は、自然な色合いを再現でき、見た目が美しいという特徴があります。

根管治療

根管治療は、虫歯が進行して歯髄まで達した場合に行われます。歯髄を取り除き、その後歯の中を清掃し、最後に詰め物や被せ物で歯を補修します。この治療により、痛みを取り除き、さらなる虫歯の進行を防ぐことができます。

当院の虫歯治療のこだわり

痛みに配慮した治療

「歯の治療は痛くて怖いから苦手だ」「痛いから治療に通いたくない」という患者さまにできる限りお痛みを感じず治療を受けていただけるよう、当院では細心の注意を払って治療を行い、1日も早く完治していただきたいと考えております。

治療中に痛みを感じないよう、無痛的に麻酔を使用します。

麻酔薬はカートリッジウォーマーを使用して温めております。

患者さまの体温と麻酔薬との温度差が刺激となり、注入時に痛みを感じる場合があるためです。

注射の前に表面麻酔を施し、時間をおいてしっかりと効かせます。

歯茎の表面の感覚をなくすことで、針を刺す痛みを軽減することができます。

麻酔が効いているのを確認した後、極細の針で麻酔薬をゆっくりと効かせながら注入すれば、注射の痛みはほとんど感じません。

当院で使用する麻酔針の太さは極細の31G(0.28mm)・超極細の33G(0.26mm)です。

その後、十分に時間をおき、痛みを感じないのを確認してから治療を開始いたします。

歯の治療に恐怖心がある、痛いのが苦手等で無痛治療をご希望の方はご遠慮なくお申し付け下さい。

インフォームドコンセント

皆様はご自身のお口の中の状態を正しく把握していらっしゃいますか?

当院では治療前に現在の状態をデジタルカメラで撮影させていただきます。虫歯の本数や歯周病の進行の他、虫歯の深さや噛み合わせのバランスについて写真やアニメーション、数値等のデータにより詳しく丁寧に治療内容を説明します。

奥歯も保険で白い歯に。ハイブリッドCAD/CAM冠・CAD/CAMインレー

近年、審美性の高い白い歯を求める患者さまが増えており、当院でも金属を使用しないハイブリッドレジン製の白い歯の治療に力を入れています。

従来、保険適用で白い被せ物にすることができるのは、前歯の犬歯から犬歯までの上下各6本ずつの計12本でしたが、近年、保険適用範囲が段階的に拡大されています。

2014年4月にハイブリッドレジン製の白いかぶせもの(CAD/CAM冠)が4番目・5番目の小臼歯に保険適応となりました。さらに、2020年4月には、上下左右7番目の永久歯(第2大臼歯)が健全な状態で全て残っていることを条件として、6番目の永久歯(第1大臼歯)にもCAD/CAM冠の治療が保険適応となりました。そして、2022年4月には、ハイブリッドレジン製のインレー(CAD/CAMインレー)が小臼歯と(第2大臼歯が健全な状態で全て残っている場合の)第1大臼歯に適応となりました。

2023年12月には、条件なしで全ての大臼歯にCAD/CAM冠の治療が可能になりました。これにより、前歯から奥歯まで全ての歯を白い歯で治療することが可能となりました。

ハイブリッドレジン製白い歯には、金属アレルギーの心配がない、見た目が自然で美しい、保険適用で治療を受けられるといったメリットがあります。

保険外(自費診療)の白い被せ物との違いは、色を細かく指定できないことと耐久性です。

保険で使用する「ハイブリッドレジン」と呼ばれる樹脂材料で、ある程度の色調しか再現ができず、完全に周りの歯と同じ色に合わせることは材質上不可能です。また、2〜3年の間に変色してしまいます。

虫歯をなくし、健康的なお口へ

当院では、虫歯治療を通じて患者さまの口腔健康を守り、健康なお口で過ごせるようサポートしています。当院のこだわりは、患者さま一人ひとりに合わせた治療計画の提案、痛みの少ない治療、最新の治療技術の採用、清潔で快適な環境の提供、そして患者さまへの教育と情報提供です。これらを通じて、患者さまが安心して治療を受けられるよう、全力でサポートします。当院での虫歯治療を通じて、健康な口腔環境を取り戻し、毎日を笑顔で過ごすことができるよう、当院は全力でサポートします。